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整理した結果を図?−3−7に示す。また、水路幅300m、屈曲角30°および90°の水路の中央を長さ100mの船が、速力10ノットまたは5ノットで航行するとき、その水路で潮流の影響を受けるときの環境ストレスの変化を流向別に整理した結果を図?−3−8、図?−3−9にとりまとめる。
外力の影響を受けるときの計算に際しては、まず、自船針路*φごとに自船の速度ベクトルと外力ベクトルとの合成ベクトルを求めて、合成ベクトルの延長方向を対象に危険顕在までの時間余裕を求める。そして、このとき、合成ベクトルが自船ベクトルより大きくなる条件の範囲において外力影響に伴う危険感の増加を算定値に取り込む。つまり、外力影響を受ける状況下では、外力影響を受けない場合の危険感をべースにして、その上に外力影響に伴う危険感の増加を増分として算定値に加える考え方である。
潮流の影響によるストレスの増加は、流速が早いほど、また、自船速力が遅いほど顕著に現れる。そして、潮流を正面または真後ろから受ける場合は平行水路ではストレス値に差はない。しかし、屈曲航路のように自船の行く手に障害が存在する場合は向かい潮と追い潮とでは大きな差が生じる。これは潮流影響の流下側において危険が顕在化するまでの余裕時間が短縮されることからストレスが高くなるもので、30。の屈曲水路では120°の方向から、90°の屈曲水路では180°の方向から追い潮を受けるとき最もストレスは高くなる。

 

【参考文献】
(1)井上・原・金子・増田:操船者の危険感に基づく操船環境の評価−評価指標としての環境ストレス値の定義−、日本航海学会論文集、第95号、1996年10月(印刷中)
(2)劉英紅:狭水道航行支援システムに関する研究、神戸商船大学大学院修士論文、1996年1月

 

3.1.5 操船シミュレータ実験結果への環境ストレスモデルの適用
第?編2章に示した、長さ175mの船尾船橋船を対象としたシミュレータによる航行結果を図?−3−10に示す。ここでは、図?−3−10に得られた航行結果から時事刻々の航行位置と船速を入力条件として、前項に示したモデルを運用した結果を図?−3−11〜図?−3−16に示す。これらの各回は実験ケース6ケースのひとつづつのモデル出カを掲載している。

 

図?−3−11 中水道南航憩流時
図?−3−12 中水道南航最強時
図?−3−13 中水道南航中間時
図?−3−14 西水道北航憩流時
図?−3−15 西水道北航最強時
図?−3−16 西水道北航中間時

 

図の上段は操船環境ストレス値の出力を実験スタート点から距離べースでプロットし、中断は船の対地速力、下段は船の針路を示している。

 

 

 

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